新しい水の科学

『水からの伝言』への批判

江本勝会長は科学者ではありませんでしたし、『水からの伝言』もまた科学的な書物として書き表されたものではありませんでした。

科学として提示するのであれば、実験を繰り返して再現性を確認したり、統計的な分析を行うことによって有意差を検定したりすべきでしょう。『水からの伝言』は、これらの点に関して言えば、まだまだ予備的な段階にありますし、そのことは著者の江本勝も十分に理解していたところです。

このように著者自身、科学とは考えていなかったにも関わらず、『水からの伝言』が出版された1999年の数年後辺りから、一部の科学者たちによって、「水が情報を記憶することなど、科学的にあり得ない」とか、「『水からの伝言』は非科学的である」などと、「科学」の名の下に痛烈に批判されるようになってきました。

ところが21世紀になってから、何人かの科学者によって、「液体の水には、実は情報を記憶する能力がある」ということを示す科学的な研究が行われるようになってきました。

以下、ジェラルド・ポラック博士とリュック・モンタニエ博士という二人の科学者による研究について、それぞれご紹介いたします。

ジェラルド・ポラック博士の研究

『水からの伝言』に対して、肯定的なコメントをしてくださった最初の科学者は、米国ワシントン大学生物工学科教授のジェラルド・ポラック博士です。

博士は2014年7月10日に、「シャロン・クライン・アワー」という名前のインターネット上のラジオ番組で、「『第四の水の相』を考えることによって、江本勝博士が『水からの伝言』で見出したさまざまな現象について、初めて科学的に説明することが可能になります」と語ってくださいました。

そこでまずポラック博士の『第四の水の相』について、以下に解説させていただきます。

ジェラルド・ポラック博士の『第四の水の相』

ポラック博士は、2013年に『The Fourth Phase of Water: Beyond Solid, Liquid, and Vapor』という題名の本を出版しました(図1)。邦訳はまだ出ていませんが、題名を直訳すれば『第四の水の相:固体・液体・気体を超えて』となります。

図1 ポラック博士の著書『The Fourth Phase of Water: Beyond Solid, Liquid, and Vapor』(Ebner & Sons Publishers 2013)(直訳すれば、『第四の水の相:固体・液体・気体を超えて』)

「水には固体(すなわち氷)・液体・気体(すなわち水蒸気)の三態(三相とも言います)がある」ということは、常識中の常識となっています。温度によって、水は、固体である氷、普通の液体の水、そして水蒸気という3つの形の間を移り変わっていきます。このことに対して、誰も疑問を持たないでしょう。

しかしながら、ポラック博士がこの本で主張していることは、「これらの三つの相だけを見ていたのでは、私たちは水を決して理解することはできない」「水を理解するためには、『第四の水の相』の理解が必要不可欠である」ということなのです。

私たちのほとんど誰もが、「水には三相ある」ということについてまったく疑いを持っていないと思いますが、そういう私たちはポラック博士に言わせれば、「水のことをまったく分かっていない」ということになるのです。

『第四の水の相』はどのようにして発見されたか?

一般的に物質表面の性質として、水に濡れる場合と水をはじく場合があります。たとえばレインコートの表面やテフロンで出来た鍋などの場合には、水に触れても、水に濡れることなく、水をはじきます。逆に、ガラスや多くのプラスティック、金属、皮膚などは水に濡れる性質を持っています。水に濡れる性質のことを「親水性」と呼びます。

ポラック博士は、次のような実験を行いました。まず親水性の表面を持った物質を用意し、その面に濡れるように液体の水を垂らします。親水性の表面の近傍で、水がどのような動きを示すかについて、光学顕微鏡を使って観察します。但し、液体の水は透明であり、たとえ動きがあってもそのままでは観察しにくいので、観察しやすくするために、水にラテックスなどで出来た微粒子をたくさん懸濁しておきます。

微粒子の懸濁液を垂らした瞬間には、微粒子は親水性の表面のほぼ直下まで、均一に水に懸濁されていますが、その後、数秒から数分の間に、微粒子は親水性の表面から排除されて、どんどん遠くへと押しやられていくのを、顕微鏡下で観察することができます。

その結果を図2に示します。図の左側には親水性の表面を持った物質があり、その右側には、微粒子が懸濁された液体の水が入れられています。10秒後においても、親水性の表面から微粒子がわずかに排除されているのが分かります。5分後には、ほぼ0.1 mmの厚さにわたって、微粒子が親水性の表面から排除されて、微粒子のない水だけの部分が形成されていることが分かります。

図2 「排除層」の存在を示したポラック博士の実験―親水性の表面を持つ物質の右側に、微粒子を懸濁した水を垂らすと、親水性表面に接して、排除層が形成され、懸濁されている微粒子はそこから、排除される。

何が起きたかというと、先にその結論を言えば、親水性の表面から、層状に「液晶」構造が形成されたと考えられているのです。「液晶」はあくまで固体ではなくて、液体ですが、固体である氷の結晶のように、規則正しい構造を持っているのです。

微粒子が排除されて微粒子のない状態になっている部分を、「排除層」(英語ではExclusion Zone、略してEZと言います)と呼びます。この「排除層」の水こそが、実は『第四の水の相』なのです。

「排除層」以外の、親水性の表面から遠く離れた部分、すなわち微粒子が相変わらず懸濁している部分の水については、英語ではBulk Waterと呼びます。なかなか良い訳語がないので、ここではカタカナで「バルクの水」と呼ぶことにしますが、その意味は「その他大勢のごく普通の液体の水」という意味です。

『第四の水の相』が本物であるかどうか、例えば「たまたま水に濡れる表面から何かが溶け出してきていて、それが微粒子を押し流しているのではないか」など、他の解釈が成り立つことはないのか、ということについて、ポラック博士はたくさんの実験を行っており、ポラック博士は、ここで観察された「排除層」が、実際に「新しい水の相」である、ということを証明しています。

術語としては、モノを排除する性質に着目する時には「排除層」という言葉が使われますが、より大きな意味合いで、一つの新しい「相」であることを強調したい場合には、『第四の水の相』という言葉が用いられます。

『第四の水の相』の分子構造

『第四の水の相』の分子構造については図3のように考えられています。すなわち水1分子分の厚さを持つ層が積み重なってできていると考えることができます。この層自身がどういう構造を持っているかというと、層の平面に垂直の方向から見ると、なんと正六角形が平面に敷き詰められた形、言い換えれば蜂の巣状の形になっている、ということなのです。

図3 「排除層」=『第四の水の相』の分子構造

この蜂の巣状の構造をした1つの層を詳しく見てみると、図3の円内に示すように、六角形の頂点には酸素原子(赤い大きな原子)、頂点を結ぶ辺の中点には水素原子(青い小さな原子)が配置されています。

一つの驚くべき点は、この層の構造を化学式で表すと、H2Oではなくて、H3O2になるということです。その導き方についてはここでは説明しませんが、層を構成する最小単位として1つの六角形を考え、その中に含まれる水素原子と酸素原子の個数を正確に数え挙げていくと、H3O2であることが分かります。

もう一つ、さらに少し化学的な面に深入りしますが、電荷(電気的な性質)について考えてみると、最小単位の六角形1つ当たり、マイナスの電荷を1つ持つことが分かります。すなわち電荷も含めて考えれば、『第四の水の相』の構造式は「H3O2-」となります。

水の電池

従って、図4に示すように、『第四の水の相』、すなわち「排除層」の部分では電気的にマイナスになります。

図4 「排除層」=『第四の水の相』の電気的性質―「排除層」はマイナスに帯電し、「バルクの水」はプラスに帯電する。

これは「排除層」の構造そのものから生まれる性質なので、「排除層」ができれば、そこは必ずマイナスの電荷を持つことになります。一方で「バルクの水」の部分では、ヒドロニウム・イオンと呼ばれるプラスのイオン「H3O+」が形成されることによって、電気的にプラスになります。そして全体としては、あくまで中性を保つことになります。

このように、親水性の物質の表面に接している水の中で、親水性の表面の近傍において「排除層」ができると、かならず「排除層」がマイナス、「バルクの水」がプラスとなり、電荷の分離が起きます。電荷が分離するということは、すなわち電池ができるということと同じです。

電気的エネルギーを取り出せるか?

図5に示すように、排除層とバルクの水の間に電線を繋ぐと、実際に電気的エネルギーを取り出すことができます。驚くべきことです。

図5 水の電池―実際に電線を繋ぐと、電気を取り出すことができる。

水の電池のエネルギー源は何か?

『第四の水の相』が形成されるとともに電荷が分離して、電池となり、そこから電気的エネルギーを取り出すことができることが分かったのですが、そのエネルギー源は一体何でしょうか?

ある時、ポラック博士の学生が何気なく、懐中電灯で光を当ててみたところ、そこだけ排除層の厚さが厚くなることを発見しました。そこでさらに詳細な実験を積み重ねた結果、目に見える光、すなわち可視光は、排除層を厚くする上でとても効果的であることが分かりましたが、それ以上に赤外線の光がもっとも効果的であることが分かりました。

赤外線はいわゆる熱線とも言えるものであり、温度を持っているものであれば、私たちの身体も、部屋の壁も机も椅子もすべて多かれ少なかれ赤外線を発しています。

夜、部屋の電気を消しても、あらゆるモノから赤外線は放射されており、それ故に、赤外線を感知するカメラを使うと、真夜中であっても、モノを見ることができるのです。

図6に示すように、「排除層」は赤外線を吸収して、そのエネルギーを貯蔵することができます。それと同時に、『第四の水の相』は成長して厚くなっていきます。貯蔵されたエネルギーは、必要に応じて、他の仕事に活用することができると考えられます。貯蔵されたエネルギーが他の仕事に使われると、「排除層」は薄くなっていきます。

図6 水の電池の充電―「排除層」は赤外線などの光を吸収して、 そのエネルギーを貯蔵するとともに、厚みが増していく。貯蔵されたエネルギーは必要に応じて活用することができる。

身体の中の水はほとんどが『第四の水の相』

ここにコップ一杯の水があるとします。ガラスは水に濡れる性質を持っているので、ガラスの表面直下では、0.1ミリメートルほどの厚さにわたって、『第四の水の相』が出来ています。また、空気と接する水の表面においても、同じように『第四の水の相』が出来ていることが分かっていますので、コップに入れた水が空気と接する面においても、同じように『第四の水の相』が出来ていると考えられます。
しかしながらコップ一杯の水においては、『第四の水の相』が占める割合はごく僅かです。取るに足らない量と言えるかも知れません。

さてそれでは、この『第四の水の相』というのは、私たちにとってどのような意味があるのでしょうか。私たちの身体は約60兆個の細胞から成り立っています。それぞれの細胞について考えてみますと、細胞を取り囲む膜である細胞膜の表面は、親水性です。細胞の中に含まれている核やミトコンドリア、その他の構造体もまた、すべてその表面は親水性です。細胞の中に存在する蛋白質や遺伝物質であるDNAなども、すべて表面は親水性です。ということはこれらの物質の表面からおおよそ0.1ミリメートルの範囲においては、水はすべて『第四の水の相』の状態になっていると考えられます。

そして実は細胞というのはとても小さくて、実際ほとんどの細胞のサイズは0.1ミリメートル以下なのです。ということは、図7に示すように、「事実上、私たちの身体の中の水は、そのほとんどが『第四の水の相』の水である」と言うことができます。

図7 細胞の中の水―ほとんどが『第四の水の相』である。

すなわち私たちの身体の中においては、『第四の水の相』は決して例外的な存在ではなくて、それどころかまったく逆に、私たちの身体はほとんど『第四の水の相』で構成されているということなのです。

血液循環の仕組みを説明する『第四の水の相』

私たちの身体の中には、毛細血管をすべて含めると、総延長10万キロメートル―すなわち地球二回り半―にも及ぶ長さの血管があると言われています。図8は毛細血管の中を通る赤血球の写真です。図36右上の挿図は個々の赤血球が円盤状の扁平な形をしていることを示しています。

図8 毛細血管の中を流れる赤血球の様子―下部に見られる細い毛細血管の中では、赤血球がひしゃげた形に扁平して流れていることが分かる。

ここで大事なポイントは、毛細血管の太さよりも赤血球の方がずっと大きいことであり、従って赤血球は毛細血管の中を流れる時には、図8に示すようにひしゃげた形に変形しながら通って行かざるを得ません。

従って、毛細血管の中の血液の流れにおいては大きな抵抗があるはずです。このことを考慮すると、心臓のポンプ作用のみでは、すべての毛細血管を通しての血液循環の流れを引き起こすには不十分である、と一部の科学者は考えてきました。

ポラック博士はこの身体の中の血液循環の仕組みを説明することの出来る驚くべき実験を行いました。それは図37に示すように、親水性の素材で出来た透明なチューブを、水の入った容器の中に沈めてみたのです。但し、水の動きが分かるように、排除層の実験を行った時と同様にして、ラテックスの微粒子を水に懸濁し、顕微鏡でチューブを通る水の動きを観察しました。その結果、図9に矢印で示してあるように、チューブの中を水が自動的に流れることを発見したのです。

図9 親水性のチューブを水の中に入れる実験―水にラテックスの微粒子を懸濁させて、顕微鏡で観察することにより、親水性のチューブの中を水が自動的に流れることが分かった。

勿論、エネルギー源がなければ、このような運動は生じません。この場合のエネルギー源は外界から来る光であり、その光エネルギーをチューブの親水性表面の近傍の水が吸収して、『排除層』すなわち『第四の水の相』を形成して、マイナスの電荷を帯びるようになります。

その一方で、チューブの中心部分ではバルクの水が形成されて、ヒドロニウム・イオン(H3O+)が集まります。このヒドロニウム・イオンはプラスに帯電しているために、お互いに反発して離れようとしますが、そのためにチューブの中心部分で水の流れが生じるのです(図10)。

図10 親水性のチューブの中を水が自動的に流れる仕組み―親水性の素材で出来たチューブの表面の近傍には、『排除層』すなわち『第四の水の相』が形成されて,電気的にはマイナスになるが、チューブの中心部分にはバルクの水が集まり、電気的にはプラスになる。プラスの電気はヒドロニウム・イオンと呼ばれるプラスのイオンが担うが、このプラスのイオン同士の間には反発力が働き、結果として中心部で水の流れが生じる、と考えられている。

左右どちらの方向に水が流れるかということは、初期の微妙な条件の違いによって決定されますが、いずれにしても外界から赤外線などの光のエネルギーを受け取っている限り、チューブの中を水が自動的かつ持続的に流れ続けるのです。

この実験結果から、ポラック博士は、私たちの身体の中で血液循環が起こるためには、心臓のポンプ作用に加えて、血管内で形成された『第四の水の相』が、外界からの光エネルギーを吸収して、血液が物理的に血管の中を流れるのに必要な運動エネルギーへと変換する作用が必要である、と考えています。

すなわち、「『第四の水の相』を考えないと私たちの身体の中の血液の循環は説明できない」ということになります。これまた大変驚くべき研究成果です。

ポラック博士の実験結果に基づく作業仮説

ポラック博士の実験結果に対して、私が考えている作業仮説を合わせて示したのが、図11です。

図11 ポラック博士の実験結果と作業仮説

ポラック博士は、「『第四の水の相』はエネルギー変換装置である」と考えています。

実際、『第四の水の相』は、赤外線を含む光を効率よく吸収することができることが実験的に示されていますし、吸収・貯蔵されたエネルギーを使って、既に示したように、『第四の水の相』から電気エネルギーを取り出すことができます。また親水性のチューブを使った実験に示されているように、物理的な運動のエネルギーに変換することもできます。

私はこれらの実験結果を元にして、さらに入力と出力のエネルギーの種類について拡大し、図11に示されているように、光だけではなくて、感情や想念、言葉や祈り、あるいはヒーリング・エネルギーやサイキック・パワーなども、『第四の水の相』に対して影響を与えるのではないか、と考えています。

例えばヒーリング・エネルギーの場合には、ヒーラーから送られたエネルギーが、クライアントの身体の中の細胞に含まれる『第四の水の相』によって吸収され、さらに『第四の水の相』の働きによって、クライアントの身体の中で、自己治癒力や免疫力などへと変換されていくのではないか、ということです。

感情のエネルギーを考えた場合、肯定的な感情に曝された場合と否定的な感情に曝された場合で、『第四の水の相』が異なる形で反応する可能性があります。

『水からの伝言』では、液体の水を凍結させた後に形成された結晶の構造を観察していますが、実は水が凍って氷になる時には必ず『第四の水の相』を通過する、ということが、ポラック博士の別の実験の結果から知られています。その結果、形成される氷、すなわち結晶の姿もまた、肯定的な感情に曝された場合と否定的な感情に曝された場合で異なる可能性がある、と言えることになります。

現時点では、すべて「可能性がある」という段階であり、いずれも科学的に証明されているわけではありませんが、「『水からの伝言』が科学の土俵に乗り始めている」と言うことができるでしょう。

ブルガリアで開催された国際水学会

2014年10月9日~12日の4日間、ブルガリアのパンポロヴォというところで開催された国際水学会においては、私は『水からの伝言』の概要について説明するとともに、図11を用いて、ポラック博士の『第四の水の相』と、江本会長の『水からの伝言』に描かれている現象についての関連について、議論しました。

講演の後、活発な質疑応答が行われましたが、どの質問もとても好意的なものであり、とても嬉しく感じました。講演を終えて、壇上から降りた時に、ポラック博士が、「ファンタスティック!」と言ってくださって、それもまたとても嬉しいことでした(図12)。

図12 ブルガリアで開催された国際水会議にて、ポラック博士とともに

リュック・モンタニエ博士の研究

DNA研究の専門家リュック・モンタニエ博士

続いて、「水の情報記憶」に関する、文字通り世界最先端の研究をされているリュック・モンタニエ博士の研究についてご紹介いたします。

モンタニエ博士は、長年にわたってフランスのパスツール研究所に在籍し、1983年にはエイズの原因ウイルスであるHIVを発見しました。そして2008年には、エイズ・ウイルスの発見者として、フランソワーズ・バレ=シヌシ、およびハラルド・ツア・ハウゼンと共にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

ウイルスを研究するためには、遺伝物質DNAを扱う専門的な技術が必要です。ましてやモンタニエ博士はノーベル賞受賞者ですから、DNAを扱う事にかけては世界超一流の技術の持ち主であり、プロ中のプロと言って過言ではないでしょう(図13)。

図13 ブルガリアで開催された国際水会議にて、モンタニエ博士とともに

そのモンタニエ博士が過去少なくとも6年以上にわたって追いかけてきているテーマが、「水の情報記憶」であり、もっと言えば「水によるDNA情報の記憶」なのです。

そこで、以下にモンタニエ博士の研究内容について、6つのステップに分けて、解説していきたいと思います。

モンタニエ博士の実験結果

ステップ1

まず既知の文字配列を持った遺伝物質DNAの水溶液を準備しておきます。DNAは全体の形としては「二重らせん」の形になっているということについては、皆さん、ご存じかと思います。言ってみれば、らせん階段のようなものであり、おおざっぱに言えば、階段の一段一段が一つの文字に対応します。そしてDNAを構成する文字には、A、T、G、Cの4種類があります。これら4文字をアルファベットとして用いて、さまざまな文字列が遺伝物質DNAには書き込まれているのです。

モンタニエ博士はDNAの専門家ですので、一定の文字配列を持ったDNAをあらかじめたくさん作っておいて、それを水に溶かして水溶液とし、試験管の中に入れたのです。実際には、104文字の長さのDNAを作りました。そしてその最初の部分の配列は、図14に示すように、「ATAGCTACCG…(以下、続く)」(この文字配列は架空の一例です)だったとします。

図14 ステップ1

ステップ1の最初に、まずこのDNAの水溶液を100万倍に希釈しました。そして、微弱な電磁波を検出することのできる装置を用いて、この希釈DNA水溶液から、何らかの電磁波信号が発信されていないかどうかを調べたところ、ある特有の電磁波信号(Electromagnetic Signal:以後、EMSと略します)が出力されていることが分かったのです。EMSの周波数の範囲は500~3,000ヘルツであり、比較的低周波の電磁波でした。

このステップで、DNA水溶液を100万倍に希釈しないとEMSは検出されないのですが、その理由については、「水の情報記憶」という点においてはそれほど本質的なことではないので、詳しい説明は省略します。簡単に言えば、DNAの濃度が濃すぎると、相互干渉のようなことが起きて、EMSは外に現れてこない、ということなのです。

ステップ2

EMSを発している希釈DNA水溶液の入った試験管の隣に、純粋な水(以後、純水と記します)のみを含む試験管を置きます。18時間後に、純水が入っていた試験管について、ステップ1と同様にして、何らかのEMSが発せられていないかどうかを調べてみると、何と驚いたことに、この純水の入った試験管からも、同様のEMSが発信されていることが分かったのです(図15)。

図15 ステップ2

勿論、単なる純水の入った試験管からはEMSは検出されないことはあらかじめ確認してあります。

PCRとは何か?

次のステップでPCRという反応を用いるので、ここでPCRとは何かということを説明しなくてはなりません。PCRとは、Polymerase Chain Reactionの略であり、日本語で言えば、「ポリメラーゼ連鎖反応」ということになります。この反応の要点は、ターゲットとなるDNA分子の数を無限とも言えるくらいに増幅することにあります(図16)。

図16 PCRとは何か?

すなわち、試験管の中に、1分子でもターゲットとなるDNAが存在していれば、そこにPCR反応液を加えて、PCRの反応を行うと、そのDNA分子を何兆倍にも増幅して増やすことができます。逆に、その試験管の中にターゲットとするDNAが1分子もなければ、PCRの反応液を加えて、反応を行わせても、何も増幅されてきません。

DNAを用いた犯罪捜査とか、親子鑑定などにおいては、極微量のDNAを増幅するために、必ずこのPCRという反応を利用します。また、遺伝子を扱う研究所や試験機関においても、世界中でPCRという反応を当たり前のように利用しています。それほどにバイオテクノロジーの分野においては日常茶飯事として使われている反応系なのです。

ステップ3

さてモンタニエ博士は次に何をしたかということ、ステップ2で特有のEMSを発するようになった、元々は純粋な水の入った試験管に、PCR反応液を入れて、PCRの反応をさせてみたのです(図17)。

図17 ステップ3

この試験管には物質としては水しか入っていません。いかなるDNAも1分子も中には入っていません。ところが、PCRの反応をさせた後、試験管の中の水を調べてみたところ、そこにたくさんのDNA分子が含まれていることをモンタニエ博士は発見したのです。

PCRについて説明した時に述べたように、そもそも1分子もDNAが存在していなければ、PCRでDNAが増幅されてくるはずはないのです。何もないところから、何らかのDNAが増幅してくるなどということが起これば、犯罪捜査や親子鑑定にPCRは使えません。

従って、このステップ3の実験結果は、PCRに馴染んでいる人にとっては、まったく信じられないものです。私自身もかつてはPCRを行っていましたから、常識的にはとても理解できない実験結果であると思います。

しかしながらその一方で、水しか入っていないとはいえ、この水は普通の水とはちょっと違います。元のDNAが発しているのと同じ、特有のEMSを発するようになった水なのです。「物質的には水そのものである」としか言いようがないのですが、「情報としては、何らかの形で、元のDNAの情報を含んでいる」と言えるかも知れません。そのように考えない限り、このPCRの結果は説明できないのです。

さて、増幅されてきたDNAの長さを調べたところ(DNAの長さを調べるのは簡単ですが、文字配列を調べるのは少し複雑です)、その長さは104文字であり、元々モンタニエ博士が用意したDNAの長さと一致しました。

ステップ4

次にモンタニエ博士が行ったことは、増幅されてきた104文字の長さのDNAの文字配列を調べることでした。これは遺伝子工学的手法を用いて、解析することができます。その結果、図18に示すように、104文字のうち102文字が元のDNAの配列と一致しました。102/104≒98.08%なので、98%同一のDNAが得られた、ということが分かりました。

図18 ステップ4

ここで98%というと、それでは2%もの間違いがあったのか、と思われる方もいるかも知れませんが、実際私たちの身体の中の細胞においても、DNA複製においてはある程度の間違いが起こります。決して100%確実にDNAが複製されることはありません。その間違いの大きさは、生体内では2%よりもはるかに小さい値になりますが、間違いが起こることに変わりはありません。

また、PCRは試験管の中で起こる比較的単純かつ人為的な反応系であり、そのPCRにおいてすら、「98%という極めて高い確率で、元のDNAと同じ文字配列のDNAが回収された」ということこそが、驚くべきことなのです。

さらに論文中でモンタニエ博士は、同様の実験を22回行って、再現性について確かめたと言っています。

ステップ5

次のステップはやや複雑ですが、図19に従って説明します。

図19 ステップ5

まずA研究室では、ステップ1(図14)と同様に、希釈することによりEMSを発するようになったDNA水溶液を準備します。このDNA水溶液の入った試験管をコイルの中に置くことにより、コイルを通してEMSを「受信」することができます。受信されたEMSを増幅器で増幅した後、デジタル化してパソコンに入力します。

既に説明したようにEMSの周波数範囲は500~3,000ヘルツなので、20~20,000ヘルツの範囲の周波数を記録することができるデジタル録音用のフォーマットをそのまま流用して、PC上のアプリケーションを使って、デジタル音楽ファイルとしてEMSの信号を「録音」することができます。

「録音」されたEMSのデータは、パソコン上のデジタル音楽ファイルとして、インターネットを介して、B研究室に送付されました。B研究室では、コイルの中に置かれた純水の入った試験管に対して、パソコン上のアプリケーションを使って、このファイルを「再生」します。

続いてB研究室では、EMSを受け取った純水の入った試験管の中に、PCR反応液を加えて、PCRを行います。その結果、何と特有のDNAが増幅されてくることが分かったのです。そして、DNAの長さと文字配列は、元々A研究室でターゲットとして用いていたDNAと同じであることが確認されたのです。

ステップ6

さて、ここまでで見事に、「水は情報を記憶する」ことを証明する実験結果が得られたことになりますが、とはいえ、ここまでの実験系においては、DNAを回収するのにPCRという極めて人工的な反応系を利用しています。

ここまでの実験結果のみであれば、以下の批判が成立します。すなわち「PCRは極めて人為的な反応であり、生き物の細胞の中では起こらない反応である。従って、水が情報を記憶すると言っても、これは極めて特殊な条件下でのみ起こる現象であり、自然界ではこんなことは起きていないのではないか」ということです。

この批判に答えるべく、モンタニエ博士は図20に示す実験を行いました。すなわちまず特定のDNAに由来するEMSを発している水を用意します。その水をヒト培養細胞の培養液の中に加えます。数日後に、ヒト培養細胞を調べてみたところ、ヒト培養細胞の中で、その特定のDNAが合成されていることを発見したのです。

この時、特定のDNAとして、ヒト培養細胞に死をもたらす致死遺伝子を使った場合、ヒト培養細胞が死ぬことも確認しています。

図20 ステップ6

この実験結果から、PCRという人為的な反応系を使わなくても、特定のEMSを発するようになった水から、生きた細胞の中で、物質としてのDNAを合成することができることが証明されたのです。

モンタニエ博士の研究のまとめ

以上のモンタニエ博士の実験結果から、以下の結論を導き出すことができます。

  1. DNAの情報は、電磁波信号として、水に転写することができる。
  2. このようにして水に転写されたDNAの情報は、再物質化することができる。
  3. これらの結果から、波動水を用いた波動カウンセリングが本物であることが示唆される。

すなわちDNA情報はEMS(電磁波情報)として水に転写することができ、転写されたDNA情報は、再物質化することができる、ということになります。

これらの実験結果から、「水の情報記憶」については、今やまったく疑う余地なく、完全に科学的に証明された、と考えることができます。

そして、冒頭に述べた、江本勝会長が行っていた「波動水」を用いた「波動カウンセリング」についても、「水の情報記憶」が科学的に証明された現在においては、本物であることが示唆されることになります。

『水からの伝言』と「最新の水の科学」の展望

『水からの伝言』につきましては、決して科学として書かれたものではなかったのですが、冒頭で述べましたように、10年ほど前から「非科学的である」との批判を受け、国の内外でバッシングとも言える状況が起こりました。

ですが、私たちにとって、極めて幸いなことに、過去10年弱の間に、世界のトップの水の科学者・研究者の間で、「水が情報を記憶する」ということについて、科学的な証拠が提出され始めました。

現時点では、モンタニエ博士の実験結果により、「水が情報を記憶する」ということは、科学的に証明されていると言って過言ではありません。そしてまたポラック博士によって見出された『第四の水の相』が光のエネルギーを貯蔵することができるということ、その貯蔵されたエネルギーは、電気的エネルギーや、あるいは血流のような運動エネルギーへも変換できる可能性があることを考慮すると、水の働きとして、以下の2つを考えることができます。

水の2つの働き

  1. 水は情報を記憶し、伝達する。
  2. 水はエネルギーを蓄積し、変換する。

これら2つの事柄は極めて重要です。「情報」と「エネルギー」は、この宇宙において、「物質」と並んで、もっとも重要な要素であると言うことができますが、その「情報」と「エネルギー」の両方において、物質の代表とも言える「水」が決定的に重要な働きを担っているのです。

そして「情報」と「エネルギー」のいずれも、「電磁波」、あるいはシンボリックに言えば「光」が担っていると考えることができます。

ポラック博士が見出した『第四の水の相』と「光」との相互作用は、この宇宙、すなわち「マクロコスモス」におけるもっとも根源的な反応、すなわち「光」と「水」の間の反応―言い換えれば「火」と「水」の間の反応―を科学的に明らかにしているとも考えられます。

そしてその反応は、「ミクロコスモス」とも言われる私たちの身体の中の水においても、同様に重要な役割を果たしており、「メソコスモス」とも言われるこの惑星地球の水の循環においても、決定的に重要な役割を果たしている可能性があります。

なお、最新のNASAのデータに寄れば、この宇宙で最も量が多い物質は、太陽などの恒星でもっとも大きな存在割合を示す「水素(H2)」ですが、それではこの宇宙で2番目に量が多い物質は何かというと、それは何と「水(H2O)」なのです。水はこの宇宙で珍しい物質ではなくて、むしろ極めてありふれた物質なのです。

「水の科学」という分野は、これから先、何十年にもわたって、極めて実りの多い学問分野であり続けるのではないかと私は感じています。

振り返って『水からの伝言』ですが、科学ではないものの、結晶写真という目に見える形で、広く一般の人々に向けて、「水が情報を記憶する可能性」について伝えたことの功績は大なのではないかと私は感じています。

ポラック博士やモンタニエ博士が水の科学的な研究を深めていくよりも前の段階で、江本会長は「水は情報を記憶する」ということを直観的に把握していたのではないかと思います。

『水からの伝言』が世に広まっていくにつれて、人類の集合意識の中においても、「水は情報を記憶する」ということが広まっていき、それが科学の世界にもジワリジワリと伝わってきた結果、最先端の水の科学の世界において、水の情報記憶ということについて、ようやく科学的に証明される段階に至ってきたのかも知れません。

そういう意味において、『水からの伝言』はその役目を立派に果たしてきたのではないかと私は感じています。

文献

  1. 『水からの伝言』江本勝・著、波動教育社・発行(1999年)
  2. 『水は答えを知っている』江本勝・著、サンマーク出版・発行(2001年)
  3. “The Fourth Phase of Water: Beyond Solid, Liquid, and Vapor” by Gerald Pollack, Ebner & Sons Publishers (2013)
  4. Electromagnetic signals are produced by aqueous nanostructures derived from bacterial DNA sequences. Luc Montagnier, Jamal Aïssa, Stéphane Ferris, Jean-Luc Montagnier, Claude Lavallee. Interdiscip Sci Comput Life Sci (2009) 1: 81-90
  5. DNA waves and water. Luc Montagnier, Jamal Aïssa, Emilio Del Giudice, Claude Lavallee, Alberto Tedeschi and Giuseppe Vitiello. Journal of Physics: Conference Series (2011) 306: 1-10